リールの字幕を自動で入れる手順と、必ず人が直す4か所
リールの字幕は自動で入れられます。ただし自動化が終わるのは「音を文字にする」ところまでで、読める字幕にする工程はまるごと残ります。この記事では、自動で文字にする手順、そのあと人が必ず直す4か所、音を消したまま意味が通るかを確かめる手順を、順番どおりに書きます。この記事だけで今日1本仕上げられる粒度にしています。
目次
結論:自動で終わるのは「音を文字にする」ところまで
字幕は自動で入ります。ただし、そのまま出すと読めません。
自動でできるのは、話した音を文字に変換して、話したタイミングに並べるところまでです。読みやすさの設計——1画面に何字入れるか、どこで改行するか、どの言葉を目立たせるか——は、そのあとに人がやる作業として残ります。
| 工程 | 自動でできるか |
|---|---|
| 話した音を文字にする | できる |
| 発話のタイミングに合わせて並べる | できる |
| 誤変換を直す | できない(固有名詞・業界用語で必ず出ます) |
| 1画面に出す文字数を決める | できない |
| 改行の位置を決める | できない |
| 強調する言葉を選ぶ | できない |
| 音を消しても意味が通るか判定する | できない |
この記事は3段構成で、全部で15手順です。 ①自動で文字にする(1〜5)②読める字幕に直す(6〜11)③音を消して確かめる(12〜15)。
編集全体でどの工程が自動化できて、どこが残るのかは動画編集をAIで自動化すると、どこまで時間が減るのかに整理しています。字幕はその中の一工程です。
手順① 自動で文字にする(1〜5)
結論:ここは機械に任せます。体裁の直しは次の段でまとめてやってください。
- 不要部分のカットを先に終わらせる。 字幕は編集の後半の作業です。先に付けるとカットを触るたびにずれます
- 編集アプリ、またはInstagramの編集画面に動画を読み込む
- 自動字幕(自動文字起こし)の機能を実行する
- 出てきた文章を、頭から音声と突き合わせて読む。 目で追うだけでは誤変換に気づけません
- 誤変換だけを先に直す。 この段階では改行も文字数も触りません
手順4と5を分けているのは、体裁を整えながら誤字を探すと、必ずどちらかが抜けるためです。1周目は中身、2周目は見た目と決めてください。
誤変換は固有名詞と業界用語で起きる
結論:自動文字起こしが間違えるのは、決まった場所です。先に洗い出すと毎回の直しが速くなります。
崩れやすいのは次の5種類です。
- 店名・商品名・人名(漢字の当て方が毎回変わります)
- 業界用語(施術名・材料名・機材名)
- 数字と単位(「1/3」「30秒」の読みが文字に落ちるとき)
- カタカナの表記ゆれ(伸ばし棒の有無、語尾の揺れ)
- 同音異義語(変換候補の1番目が選ばれます)
対策は、自分用の読み替えリストを1枚作ることです。よく使う固有名詞と業界用語を、正しい表記で書き出しておきます。2本目以降は、そのリストと突き合わせるだけで直しが終わります。
なお、自動文字起こしのなかには、話した内容を要約したり言い回しを整えたりするものがあります。言葉を1字も変えられない内容では、この自動の言い換えが問題になります。 薬機法・景品表示法を意識して選んだ表現が、別の語に置き換わることがあるためです。言い換えをオフにできるか確認し、できなければその部分は手で打ってください。
手順② 読める字幕に直す(6〜11)
結論:ここが自動化されない本体です。4か所を順に直します。
- 1画面に出す文字を15字前後に割る。 これを超えると、読み切る前に次の画面へ切り替わります
- 各行が全角10〜12字に収まる位置で、改行を手で入れる
- 改行の位置を、文節(意味の切れ目)に直す
- 漢字をひらく。「出来る→できる」「事→こと」のように、読み取りやすい表記に変えます
- 強調の色を1色だけ決めて、キーワードにだけ付ける
- その画面の表示秒数を、文字数から決め直す
このうち6〜9が「読みやすさ」、10が「どこを持ち帰らせるか」、11が「間に合うか」の調整です。
字幕の見た目そのものは、白い太ゴシック体・黒い縁取り・画面中央・発話と同時に出すが基準です。どの背景の上に載っても読めるようにするための組み合わせなので、ここは動画の内容にも型にもかかわらず変えません(型で変わるのは字幕の量だけです。後述します)。凝った書体や薄い色にすると、小さい画面で読めなくなります。
改行と15字が、読みやすさのほぼ全部
結論:自動で折り返らせた時点で設計ミスです。改行は必ず自分で入れてください。
アプリの自動折り返しは、画面の幅で切ります。意味の切れ目では切りません。結果、語の途中で行が割れます。
| ✗ 自動で折り返った状態 | ✓ 手で改行を入れた状態 |
|---|---|
| その巻き方は逆効果か もしれません |
その巻き方は 逆効果かもしれません |
| 前髪から乾かすとく ずれません |
前髪から乾かすと くずれません |
左はどちらも語の途中で割れています(「逆効果か/も」「く/ずれません」)。読んだ瞬間に意味が取れず、一瞬の読み直しが発生します。リールでは、この一瞬が離脱になります。
割り方の基準は3つだけです。
- 1画面15字前後。 2行までにおさめる
- 各行10〜12字以内。 3行に増やすなら、その画面を2つに分ける
- 割るのは文節。 助詞のうしろ、句読点の位置で切る
表示の秒数は、文字数から決める
結論:字幕が読み切れるかどうかは、感覚ではなく計算で判定できます。
当社が台本を書くときに使っている基準は1秒あたり5.9字です。話す速さの基準値ですが、読む速さの目安としてもそのまま使えます。
計算は次のとおりです。
- 15字の画面 → 15 ÷ 5.9 ≒ 2.5秒
- そこに息継ぎぶんの 0.8秒 を足す → 約3.3秒
これより短い表示時間になっているなら、文字を減らすか、画面を分けてください。逆に長すぎるのも問題です。1つのカットは長くて8秒、動きが無いカットは3秒以内が上限なので、字幕もそれを超えて出しっぱなしにはできません。文字だけが出たまま止まっている時間は、離脱に直結します。
自動で付いた字幕は、話速がそのまま表示時間になります。早口で言い切った長い一文が、そのまま短い表示時間で出てくることがあるので、ここは必ず見てください。
強調は1色だけ
結論:強調の色は1色に固定します。増やすと、どこも目立たなくなります。
やることは3つです。
- 色は1つだけ決める。 動画をまたいで同じ色を使う
- 付けるのはキーワードだけ。 その画面で持ち帰ってほしい1語に絞る
- その1語を決めてから色を付ける。 先に色を置くと、目立たせる語がどんどん増えます
自動字幕は、どの語が主役かを判定できません。 ここは人が決める作業として必ず残ります。
手順③ 音を消して確かめる(12〜15)
結論:リールの大半は音を出さずに見られます。字幕だけで意味が通るかを、実機で確かめてください。
- 音量をゼロにして、最初から再生する
- 最初の数秒だけを見て、何の話か分かるか確かめる
- 最後まで見て、字幕だけで筋が通るか確かめる
- スマホの実機で見て、画面の下側で字幕が隠れていないか確かめる
手順15が抜けやすい工程です。編集画面では見えていた字幕が、投稿するとアカウント名やキャプションの帯に隠れることがあります。投稿してからでは直せません。 下寄りに置いた字幕は、必ず実機で確認してください。
手順14で筋が通らなかった場合、直すのは字幕ではなく台本です。音声で補っている情報が字幕に落ちていない、という状態だからです。
0秒の大きな文字は、自動字幕からは出てきません
結論:冒頭に置く大きな一言は、発話とは別物です。手で足してください。
自動字幕は発話に紐づいて出るので、話し始める前の画面には何も出ません。 ここが空白のまま出ていくのが、自動字幕で作った動画のいちばん多い落とし穴です。
冒頭に関する当社の分析値
項目 値 冒頭0秒に大きな文字を置いていた本数(伸びたリール26本中) 25本 平均視聴時間・伸びた回(自社リール23本) 16〜21秒 平均視聴時間・沈んだ回(自社リール23本) 7〜12秒 冒頭で離脱した割合が50%を超えた回 例外なく沈んだ ※ 当社が分析したリールでの数値です。業界の平均値ではありません。
冒頭の一言をどう作るかはリールの冒頭フックに分けて書いています。ここでは、自動字幕を入れたあとに、0秒の大きな文字を自分で足すという手順だけ覚えてください。自動字幕とは別の文字として置きます。
テロップの量は型ごとに違う
結論:全部の動画に同じ量の字幕を入れるのは設計ミスです。量は動画の型で決めます。
当社が伸びたリール103本を1本ずつ解剖したところ、字幕の量は型ごとにはっきり分かれていました。
| 動画の型 | 字幕の量 |
|---|---|
| 本人が語る回 | 発話の全文級を出しっぱなしにする。 26本中24本がこの形でした |
| 手順を教える回 | 常時出しつつ、①②③の番号で区切る。今どこかが分かります |
| 日常を記録する回 | タイトル+時刻+感情の短い一言だけ |
| 作品・仕上がりを見せる回 | 結論・数字・キーワードだけ |
※ 当社が解剖したリールでの傾向です。業界の平均値ではありません。
型によって変えるのは量だけです。 見た目の規格(手順②で決めた設定)は、型をまたいでそのまま使ってください。
自動字幕は既定で全文を出します。つまりそのまま使うと、どの型でも「本人が語る回」の量になります。 下3つの型にしたいときは削る作業が入るので、「自動で入れたから減らさない」という判断だけはしないでください。顔を出さない形式ほど、字幕の設計が効きます(顔を出さずに動画を出す4つの方法)。
自動字幕が向かない場合
結論:直す時間のほうが長くなるなら、最初から手で打ってください。
| 状況 | なぜ向かないか |
|---|---|
| 複数人が同時に話している | 誰の発話か切り分けられず、行の区切りが崩れます |
| 屋外・店内で環境音が大きい | 文字起こしの誤りが全行に散らばります |
| 方言や業界用語が多い | 直す量が「打ち直し」と変わらなくなります |
| 言葉を1字も変えられない内容 | 自動の言い換えで表現が置き換わるリスクがあります |
| セリフが数行しかない短い動画 | 自動化の準備より、手で打つほうが早く終わります |
最後の1つは見落とされがちです。15秒前後で言い切る動画なら、1秒あたり5.9字で約88字。1画面15字で割ると5〜6画面です。 その規模なら、自動化して直すより最初から手で打つほうが速く、仕上がりも安定します。
自動字幕が効くのは、話す時間が長い動画と、同じ形式を何本も作る場合です。読み替えリストと色の設定が一度決まれば、2本目以降の作業時間が落ちます。
まとめ
- 自動で終わるのは「音を文字にする」ところまで。読める字幕にする工程は残る
- 誤変換は固有名詞・業界用語・数字・カタカナ・同音異義語で起きる。読み替えリストを1枚作る
- 直すのは4か所——1画面15字前後/文節での改行/漢字をひらく/強調は1色
- 改行は必ず自分で入れる。自動で折り返らせた時点で設計ミス。各行10〜12字
- 表示秒数は文字数から計算する(1秒あたり5.9字+息継ぎ0.8秒)。1カットは長くて8秒
- 仕上げは音を消して最初から再生。最初の数秒で何の話か分かるか、字幕だけで筋が通るかを見る
- 画面の下側は実機で確認する。 編集画面で見えていても、投稿すると帯に隠れることがある
- 0秒の大きな文字は自動字幕からは出ない。 別に足す
- 字幕の量は動画の型で決める。 語る回は全文級、手順の回は番号で区切る、日常記録の回は短い一言、仕上がりを見せる回は要点だけ
- 型で変えるのは量だけ。 見た目の規格は型をまたいで変えない
- 複数人・環境音・言い換え不可・短尺は、自動化しないほうが速い