顔を映さない手元動画の撮り方——今日1本撮るまでの手順
手元だけを写す動画に、特別な機材も撮影の技術も要りません。決めることは、スマホの置き方・光の向き・写す範囲の3つだけです。この記事では、撮る前の5点確認から、1カットの秒数を話す文字数から逆算する方法、影が入る・ピントが手前に来る・動きが速すぎるという3つの失敗の直し方まで、今日1本撮り終わるまでの順番で書きます。向かない場合も最後に書きます。
目次
手元だけの動画は、置き方・光・写す範囲で決まる
手元を写す動画で決めることは3つだけです。スマホをどこに置くか、光をどちらから当てるか、どこまで画面に入れるか。
この3つを最初に決めて、次の回も同じにする。それだけで「たまたま撮れた1本」が「同じ人が続けている連載」に変わります。逆に、毎回ちがう置き方・ちがう明るさ・ちがう範囲で撮ると、同じアカウントの動画に見えません。
| 決めること | 判断の基準 |
|---|---|
| ① 置き方 | 手の動きが自分の体で隠れない位置(真上か、斜め上) |
| ② 光 | 手に影が落ちていないこと。手の先を窓のほうへ向ける |
| ③ 写す範囲 | 主役が中央、上下左右に余白。毎回同じ範囲にする |
顔を出さない方法は手元のほかにもあり、向き不向きが分かれます。どれを選ぶかは顔を出さずに動画を出す4つの方法に整理しました。この記事は、手元に決めたあとの手順です。
撮る前の5点チェック
撮り直しの原因は、ほぼこの5つです。録画ボタンを押す前に、上から順に見てください。
- レンズを拭く(指の脂で白くかすみます。手元は近くを写すので特に出ます)
- 写る範囲だけ片付ける(部屋全体を片付ける必要はありません)
- 世界観に合う小物だけ置く(関係ないものは全部どける)
- 手の先を窓のほうへ向ける(窓を背にしない)
- 手と袖を整える(爪・時計・袖口。手元は顔より大きく映ります)
この5点は撮影のたびに毎回見ます。1回目は面倒ですが、置き場所を固定すれば2回目からは1と5だけになります。
手順1:スマホを固定する
手で持って撮らないでください。固定した瞬間に、画が安定して両手が空きます。
- 作業する場所を決める(毎回同じ場所にすると、次から準備が要りません)
- スマホを縦にする
- 手元の真上か、斜め上のどちらかに構える
- 手のひら全体と、使う道具の先が画面に入るところまで近づける
- 短く試し撮りして、自分の手が画面から出ていないか確認する
固定は専用の台がなくても構いません。本を積む、箱に立てかける、棚に寄りかからせる——動かなければ何でもよいです。スマホを固定する脚(三脚)があるなら、いちばん下まで下げて手元に向けます。
| 構える向き | 向く内容 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 真上から | 机の上の作業(書く・並べる・包む・調理) | 自分の頭と肩の影が落ちやすい |
| 斜め上から | 高さのあるもの(施術・組み立て・注ぐ) | 奥が切れやすい。先に奥まで入るか見る |
手順2:光を作る
照明を買う前に、座る向きを変えてください。手元の失敗はほとんどが光です。
光の優先順位は3つあります。
- 自然光(窓際)
- 部屋の照明+自然光
- 部屋の照明だけ
この順番で試します。手順は次のとおりです。
- 昼間、窓のある場所で撮る
- 手の先が窓のほうを向くように座る(自分の体で窓をふさがない)
- 撮影画面を見て、自分の頭・肩・スマホの影が手元に落ちていないか確認する
- 影が落ちていたら、窓とスマホの間に自分が入らない位置まで座る向きを変える
- それでも暗ければ部屋の照明をつける。機材を買い足すのは最後
影は「暗い」ではなく「形」で気づきます。 手元に自分の頭の形をした黒い帯が入っていたら、体が光をさえぎっています。
手順3:写す範囲を決める
範囲は毎回同じにします。回ごとに変わると、同じアカウントの動画に見えません。
範囲は大きく3つです。迷ったら真ん中を選んでください。
| 範囲 | 入るもの | 向く内容 |
|---|---|---|
| 手だけ | 手と、触れているもの | 細かい手つき・質感 |
| 手+道具 | 手・道具・対象物 | 手順の説明(いちばん使いやすい) |
| 手+作業台 | 台の上ぜんぶ | 準備・並べる・全体像 |
決め方の手順です。
- その回の主役を1つ決める(道具か、対象物か、どちらかです)
- 主役が画面の中央に来るように置く
- 上下左右に余白を残す(端が切れると、何をしているか分からなくなります)
- 決めた範囲は、その回の最後まで変えない
- 次の回も同じ範囲から始める
縦型は上下に長いので、手前と奥に物を置けるのが利点です。奥に完成したもの、手前に作業中のものを置くと、1画面で前と後が伝わります。
手順4:手の動かし方
ふだんよりゆっくり動かします。手元は大きく映るので、いつもの速さだとブレて何をしているか分かりません。
- 動かす前に一度止まる(切り替えの目印になります)
- ゆっくり動かす
- 1つの動作が終わったら、また止まる
- 手は画面の外から入れて、外に出す(動作の区切りができます)
- 何かを指すときは指先で示す(手のひらで示すと対象が隠れます)
作業をそのまま長く流すと退屈で離脱されます。 早回しにするか、変化が分かる前と後だけを見せてください。
手順5:1カットの秒数を決める
カットの長さは感覚で決めません。そのカットで話す文字数から逆算します。
基準は3つです。
- 1カットは長くて8秒
- 動きが無いカットは3秒以内
- 話す速さは1秒あたり5.9字。これに息継ぎの0.8秒を足す
逆算の手順です。
- そのカットで言うことを、先に文字で書く
- 文字数を数える
- 文字数を5.9で割る
- 0.8を足す。これがそのカットの秒数
- 8秒を超えたら、話を2つに割って2カットにする
| 話す文字数 | 1カットの秒数 |
|---|---|
| 20字 | 約4.2秒 |
| 30字 | 約5.9秒 |
| 40字 | 約7.6秒 |
| 43字以上 | 2カットに割る(8秒を超えます) |
※ 当社が台本づくりで使っている設定値です。業界標準ではありません。
先に秒数が出ていると、撮影のときに「どこまで喋ったら止めるか」が決まります。撮ってから長さに悩む時間が消えます。
手順6:撮ったあと——文字を入れる
手元動画は音を出さずに見られます。画面に出す文字(テロップ)だけで意味が通ることが条件です。
編集は順番があります。おしゃれさより「最後まで見てもらうこと」を優先した並びです。
- 素材を取り込む
- 不要な部分を切る(無音・間・言い直し)
- 話すテンポを整える
- 別の場面を差し込む(完成したもの・全体像など)
- 画面に出す文字を入れる
- 効果音を入れる
- 音楽を入れる
- 色味を整える
- 書き出す
画面に出す文字の決め方は、次の規格に従います。
| 項目 | 決め方 |
|---|---|
| 見た目 | 白い太いゴシック体に、黒い縁取り |
| 位置 | 画面の中央 |
| 1画面の字数 | 15字前後・多くて2行 |
| 改行 | 意味の切れ目で自分で入れる。各行は全角10〜12文字以内 |
| 強調 | 1色だけ |
| 出すタイミング | 声と同時に出す |
- 自動で折り返るのは設計ミスです。 「逆効果か/も」のように語の途中で割れます
- 漢字はひらきます(出来る→できる、事→こと)。読みやすさを優先します
- 冒頭0秒に大きな文字を置きます。 何の動画かが最初の一瞬で分かる状態にします
当社の観測値(自社リール23本・分析対象の勝ちリール26本ほか)
項目 値 冒頭0秒に大きな文字を置いていた勝ちリール 26本中25本 伸びた回の平均視聴時間 16〜21秒 沈んだ回の平均視聴時間 7〜12秒 手順を見せる型で効果音を使っていた本数 19本中0本 ※ 当社が観測した値です。業界平均ではありません。
効果音は手順を見せる内容では実測0本でした。 無理に付けなくて構いません。付けるなら小さく、動作の切れ目だけにします。
投稿するときのハッシュタグは、内容に直結するものだけを最大3個にします。数合わせのタグは付けません。
不要部分を切る作業をどこまで機械に任せられるかは、動画編集をAIで自動化すると、どこまで時間が減るのかに整理しています。
よくある失敗と、その場で直す方法
手元撮影の失敗は、影・ピント・速さの3つにほぼ収まります。撮る前に画面で気づけるものばかりです。
| 症状 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 手元が暗い/手の上に黒い帯が入る | 自分の体やスマホが、窓と手元の間に入っている | 座る向きを変える。窓とスマホの間に自分が入らない位置を探す |
| 手前だけくっきりして、道具の先がぼやける | 近くを写すと、ピントが手前に来る | 撮る前に画面の主役を指でタップして合わせる。手を出し入れするとピントが動くので、動かす前に一度止まる |
| 何をしているか分からない | 手の動きが速い | ふだんよりゆっくり動かす。動作の切れ目で止まる |
| 途中で飽きられる | 作業をそのまま流している | 早回しにする、または変化の前と後だけ見せる |
| 途中で画が揺れる | スマホが固定されていない | 台に置き直す。ケーブルや腕が当たっていないか見る |
冒頭で離脱した割合が半分を超えた回は、当社の観測では例外なく沈みました。 手元の画は「何をしているか」が一瞬で分かるほど強くなります。最初のカットは、作業の途中ではなく結果か、意外な一手から始めてください。冒頭の作り方はリールの冒頭フックにまとめています。
向かない場合
手元だけの撮影が向かない場合もあります。先に書いておきます。
- 主題が目に見えないとき:考え方・比較・料金の説明などは、手元を写しても話している内容と噛み合いません。写真とナレーション(吹き込む音声)で作る動画のほうが向きます
- 人柄そのものが価値になるとき:手元だけだと無機質になります。後ろ姿や口元など、顔以外の自分を入れる形を検討してください
- 両手を使う作業を、喋りながら進めるとき:撮り直しのたびに手を止めることになり、負担が下がりません。先に音だけ録る、または黙って撮って文字で説明する形に変えます
- 仕上がりの差を見せたいとき:手元の寄りだけでは差が伝わりません。前と後を同じ範囲・同じ光で撮る必要があります。範囲が変わると比較になりません
- 実物を見せる必要があるとき:商品や施術の結果を、生成した画像で代用しないでください。実物と違うものを見せることになります
上の1つ目に当てはまる場合、手元にこだわるより形式を変えるほうが早いです。判断は顔を出さずに動画を出す4つの方法に戻って決めてください。
今日1本撮るまでの通し手順
ここまでを1つの流れにまとめます。上から順にやれば1本になります。
- 見せることを1つに決める(手順を1つ、道具を1つ、失敗を1つ)
- 話すことを文字で書き、文字数からカットの秒数を出す
- 撮る場所を決めて、写る範囲だけ片付ける
- レンズを拭き、手と袖を整える
- スマホを縦にして固定する(真上か、斜め上)
- 手の先が窓のほうを向くように座り、影が落ちていないか確認する
- 短く試し撮りして、範囲・明るさ・ピントを見る
- カットごとに「止まる→動かす→止まる」で撮る
- 不要な部分を切り、画面に出す文字を入れる
- 冒頭0秒に大きな文字を置き、内容に直結するハッシュタグを最大3個つけて投稿する
2本目からは1と2だけで撮り始められます。 置き方・光・範囲は前回のまま使うからです。ここが手元撮影のいちばん大きい利点です。
まとめ
- 手元動画で決めるのは置き方・光・写す範囲の3つ。決めたら次の回も同じにする
- 撮る前に5点だけ見る:レンズを拭く/写る範囲を片付ける/小物を絞る/手の先を窓へ/手と袖を整える
- 光は自然光→部屋の照明+自然光→部屋の照明だけの順。買い足すのは最後
- 写す範囲は手だけ/手+道具/手+作業台の3つ。迷ったら手+道具
- 手はふだんよりゆっくり動かし、動作の切れ目で止まる
- 1カットの秒数は文字数÷5.9+0.8秒。長くて8秒、動きが無いカットは3秒以内
- 音を出さずに見られる前提で、画面に出す文字だけで意味が通るようにする(1画面15字前後・各行は全角10〜12文字以内)
- 向かないのは、目に見えないことが主題のとき。 手元を写しても内容と噛み合わない