写真だけで動画を作る手順——並べ方・秒数・文字・音の決め方
写真だけで動画は作れます。顔も撮影も要りません。ただし静止画は動きが無いぶん飽きられやすく、並べて文字を載せただけでは最後まで見てもらえません。この記事では、手元にある写真を集めるところから書き出しまでの7手順を、1枚あたりの秒数の決め方まで含めて示します。飽きさせないための具体策も途中で整理します。
目次
写真だけで動画は作れます。決まるのは「並べ方」と「1枚の秒数」
必要なのは、写真と、語り(ナレーション)と、画面に出す文字だけです。 カメラの前に立つ必要も、新しく撮影する必要もありません。
ただし、写真を並べただけの動画はすぐ飽きられます。この形式の出来を決めるのは、写真の美しさではなく「どの順番で並べるか」と「1枚を何秒映すか」の2つです。 逆に言えば、この2つさえ決まれば手元の素材で今日1本作れます。
全体はこの7手順です。上から順に進めてください。
| # | 手順 | やること |
|---|---|---|
| 1 | 素材を集める | 使える写真を1か所に集めて選ぶ |
| 2 | 並べる順番を決める | 役割を決めてから写真を当てる |
| 3 | 1枚の秒数を決める | セリフの文字数から逆算する |
| 4 | 文字を載せる | 音を消しても意味が通る状態にする |
| 5 | 音を付ける | 語り→後ろで流す音楽の順に足す |
| 6 | 飽きさせない手を打つ | 寄り引き・画の切り替えを入れる |
| 7 | 書き出して確認する | 音を消して最後まで見る |
順番を入れ替えないでください。 特に、文字(手順4)より先に音楽を選ぶと、曲に合わせて構成を歪めることになります。
どの方法を選ぶかで迷っている段階なら、先に顔を出さずに動画を出す4つの方法を読んでから戻ってきてください。この記事は、そこで「写真とナレーションで作る」を選んだ人の手順書です。
手順1:素材を集める(撮り下ろさずに何が使えるか)
新しく撮る前に、すでに手元にあるものを全部出してください。 多くの場合、1本ぶんは足ります。
撮り下ろさずに使えるものは、たとえばこうです。
| 種類 | 具体例 | 注意 |
|---|---|---|
| 作業・制作の途中 | 仕込み中・製作中・準備中の写真 | 顔が写り込んでいないか確認する |
| 商品・道具・材料 | 商品単体、使っている道具、材料 | 明るさがバラバラでも後で揃えられる |
| 変化が分かる2枚 | 前と後を同じ向きで撮ったもの | お客様が写るものは必ず許可を取る |
| 店内・作業場 | 入口、棚、席、机まわり | 生活感のあるものが写り込んでいないか |
| 紙に書いたもの | 手書きの図、数字、ひとこと | この後の手順6で効きます |
| 過去の投稿画像 | 自分が作った画像・自分の画面 | 他人が作った画像は使わない |
進め方は3つです。
- 使えそうな写真を、1つのフォルダにまとめて放り込む。 この段階では選びません。数を出します。
- 1本ぶんを選ぶ。 選ぶ基準は「話す内容に対応しているか」だけです。きれいでも話に関係ない写真は外します。
- 足りなければ撮り足す。 足りない写真は、顔を出さずに今から撮れます(下記)。
何枚必要か
枚数は尺(動画の長さ)から計算できます。 動きの無い画は3秒を超えると飽きられます。つまり1枚3秒が上限の目安です。
| 尺 | 必要な枚数(1枚3秒で計算) |
|---|---|
| 30秒 | 10枚 |
| 45秒 | 15枚 |
| 60秒 | 20枚 |
※ これは上限の目安です。手順6のゆっくり寄る/引く動きを入れれば1枚を長く映せるので、必要な枚数は減ります。
「そんなに無い」と思ったら、手順6の1枚を2枚に増やす方法を使ってください。実際に用意する写真はこの半分で足ります。
足りないぶんを、顔を出さずに撮り足す
撮る前に次の5点をやってください。写り込みの事故と、暗い写真をここで防げます。
- レンズを拭く
- 背景を片付ける
- 世界観に合う小物だけ置く
- 窓を正面にして立つ(窓を背にしない)
- 髪・服を整える
明るさは①自然光(窓際)②照明+自然光 ③照明のみの順に良くなります。窓際で撮れるなら、それがいちばん手間も少なく済みます。
手順2:並べる順番を決める
写真から考えないでください。役割を先に決めて、そこに写真を当てます。 手持ちの写真から発想すると、話の筋が通らないまま並ぶことになります。
30秒・10枚のときの割り当てはこうなります。
| 位置 | 役割 | 何を置くか |
|---|---|---|
| 1枚目 | 掴み | いちばん強い1枚。ここに大きな文字を重ねる |
| 2枚目 | 誰の話か | 読み手を名指しする、または問題を言う |
| 3〜7枚目 | 中身 | 1枚1メッセージ。1枚に2つ詰めない |
| 8枚目 | 結果 | 変化が分かる1枚。1枚目と同じ向きで撮ったものだと差が出る |
| 9〜10枚目 | 締め | 持ち帰ってほしいことを1つだけ |
並べるときの決まりは3つあります。
- 自己紹介から始めない。 挨拶も要りません。1枚目は本題から入ります。
- 結論を最後まで隠さない。 「最後まで見ればわかります」は最後まで見てもらえません。
- 動画のなかで売らない。 料金・予約の案内・DMのお願いは動画に入れず、投稿文とプロフィール欄に逃がします。動画の最後のお願いは、保存かコメントのどちらか1つに絞ります。
冒頭の1枚に何を置くかは、それだけで結果が変わります。型が知りたい場合は伸びるリールの冒頭2秒を見てください。
手順3:1枚あたりの秒数を決める
秒数は感覚で決めません。セリフの文字数から逆算します。 ここを機械的にやると、喋り終わっているのに画が続く「間延び」が起きなくなります。
計算はこの4ステップです。
- 1枚ぶんのセリフを先に書く。 1枚につき1文にします。長くなったら2枚に割ります。
- 文字数を数える。 かな・カナ・漢字・数字だけを数えます。記号と空白は数えません。
- 文字数 ÷ 5.9 + 0.8秒で、その1枚の秒数が出ます。5.9は1秒あたりに読める文字数、0.8秒は息継ぎのぶんです。
- 合計が狙った尺になるか見る。 超えたら中身の枚数を減らします。セリフを速く読んで詰めないでください。
計算結果を表にすると、こうなります。
| セリフの文字数 | 1枚の秒数(計算値) |
|---|---|
| 12字 | 2.8秒 |
| 18字 | 3.9秒 |
| 24字 | 4.9秒 |
| 30字 | 5.9秒 |
| 36字 | 6.9秒 |
※ 話速5.9字/秒・息継ぎ0.8秒から計算した値です。当社の制作で使っている設定値であって、業界標準ではありません。
上限は2つあります。
- 1枚は長くて8秒。 これを超える説明は、内容を分けて2枚にします。
- 動きの無い画は3秒以内。 ただし手順6のとおりゆっくり寄る/引く動きを入れれば、この上限は外れて8秒まで使えます。
手順4:文字を載せる
リールの大半は音を出さずに見られます。文字だけで意味が通ることが条件です。 語りが聞こえない前提で作ってください。
文字の規格は次のとおりです。当社が動画制作で使っているものです。
画面に出す文字の規格
項目 値 見た目 白の太いゴシック体+黒の縁取り 位置 画面の中央 1画面の文字数 15字前後 1行の文字数 全角10〜12字以内 強調 色は1色だけ。キーワードのみ 出すタイミング 語りと同時に出す ※ 当社の制作で使っている設定値です。業界標準ではありません。
作業は5ステップです。
- セリフをそのまま文字にする。 要約しません。手順3で書いた文がそのまま使えます。
- 1画面15字前後に収める。 超えたら、読み切る前に次の画に切り替わります。詰め込むほど伝わらなくなります。
- 改行を自分で入れる。 1行は全角10〜12字以内。1画面15字前後を10〜12字で割ると、自然に1〜2行になります。
- 改行は文節(意味の切れ目)で入れる。 「逆効果か/も」のように語の途中で割らないでください。編集ソフトの自動折り返しに任せた時点で設計ミスです。
- 漢字をひらく。「出来る→できる」「事→こと」。読みやすさを漢字より優先します。
1枚目の文字だけは扱いが違う
動画の0秒に、大きな文字を置いてください。 当社が分析した勝ちリール26本のうち25本がこれをやっています。
ここだけは中身の説明ではなく、足を止めさせるための一言です。他の画面の文字より大きく、短くします。
改行の良い例と悪い例を挙げます。
| 例 | |
|---|---|
| 良い | 写真だけで/動画は作れます |
| 悪い | 写真だけで動画は作れま/す |
| 悪い | 写真だけで動画は作れます(1行に詰めて、編集ソフトの自動折り返しに任せる) |
手順5:音を付ける
順番は、語り→効果音→後ろで流す音楽(BGM)です。 先に音楽を決めると、曲の盛り上がりに構成を合わせたくなり、話の筋が歪みます。
- 語りを入れる。 自分の声で読む場合は、手順3で使った1秒あたり5.9字の速さで読みます。速く読むと設計した秒数とズレます。自分の声を使いたくない場合は合成音声という選択肢もありますが、その場合は数字や熟語を読み違えることがあるので、書き出す前に必ず通しで聞いて確認してください。
- 効果音は控えめにする。 当社が分析したリールでは、手順を教える形式で目立つ効果音を使っていたものは19本中0本でした。一方で密着形式は8本中7本、本人が語る形式は26本中8本です。写真とナレーションで作る動画は手順を教える形式になることが多いので、入れるとしても切り替えの合図として小さくが無難です。
- 後ろで流す音楽は小さく敷く。 語りが聞き取れる音量までしか上げません。音楽が主役になると、音を出さずに見ている人には何も残りません。
音を足したあと、必ず音を消して1回通しで見てください。 それで意味が通らなければ、文字が足りていません。手順4に戻ります。
手順6:飽きさせない手を打つ(この形式の最大の弱点)
写真だけの動画の弱点はここ1点です。動きが無いので飽きられます。 顔も撮影も要らない代わりに、画が動かないという性質がついてきます。放置すると「ただのスライドショー」になり、途中で離脱されます。
対策は6つです。
- すべての写真にゆっくり寄る/引くを入れる。 静止画に緩やかな寄りを入れるだけで、スライドショー感はかなり減ります。1枚おきに寄る/引くを入れ替えると、単調さがさらに減ります。
- 1枚を2枚に増やす。 同じ写真から「全体が写った1枚」と「一部を大きく切り出した1枚」を作ります。画が変わるうえに、素材不足も同時に解消します。 手元に5枚しかなくても10枚ぶんの画になります。
- 画の切り替えを文の切れ目に合わせる。 文の途中で切り替えると、読んでいる最中に画が変わって内容が頭に入りません。切り替えは句点か文節の切れ目に置きます。
- 同じ種類の画を続けない。 商品の写真が続いたら、次は紙に書いたメモ、その次は作業場。同じ種類が続くと、画が変わっても止まって見えます。
- 数字は写真に重ねず、数字だけの1枚を作る。 写真の上に数字を載せると背景に負けて読みにくくなります。無地の壁や紙に大きく置いた1枚を挟むと、そこだけ画が変わるので目も止まります。
- 動きの無い画を3秒以上映さない。 1で寄り引きを入れていれば動きがあるので、この制限は外れます。入れていない画だけ確認してください。
このうち1と2だけでも先にやってください。 手間が少ないわりに画の印象が変わり、素材が足りない問題も同時に片付きます。
手順7:書き出して確認する
編集の順番には理由があります。 おしゃれに仕上げることではなく、最後まで見てもらうことを優先した順番です。
| # | 工程 | 写真だけで作る場合の読み替え |
|---|---|---|
| 1 | 素材取込 | 選んだ写真を並べる |
| 2 | 不要部分カット | 使わない写真を外す |
| 3 | 話すテンポ | 1枚ごとの秒数を合わせる(手順3) |
| 4 | 別の画を足す | 寄り引き・切り出しを作る(手順6) |
| 5 | 画面に出す文字 | 手順4 |
| 6 | 効果音 | 手順5 |
| 7 | 後ろで流す音楽 | 手順5 |
| 8 | 色味 | 明るさのバラつきを揃える |
| 9 | 書き出し | 縦型で出す |
書き出す前に、この5つを確認してください。
- 音を消して最後まで見る。 意味が通らなければ文字が足りていません
- 1画面の文字が15字を大きく超えていないか
- 動きの無いまま3秒以上止まっている画がないか
- 1枚目に大きな文字が入っているか
- 投稿文に付けるタグは、内容に直結するものだけ最大3個(数合わせのタグは付けない)
投稿したあとに見る数字
次の1本を直す材料は、平均視聴時間と冒頭の離脱率の2つです。
| 見る数字 | 判断 |
|---|---|
| 平均視聴時間 | 当社のリール23本では、伸びた回は16〜21秒、沈んだ回は7〜12秒でした |
| 冒頭で離脱した割合 | 50%を超えた回は例外なく沈みました。超えていたら、直すのは1枚目です |
冒頭で半分が離れているなら、中身をいくら直しても届きません。次の1本では1枚目の写真と文字だけを作り直してください。
写真だけの動画が向かない場合
この形式が向かない場合もはっきりしています。無理に使わないでください。
| こういうとき | 向かない理由 | 代わりに |
|---|---|---|
| 質感・変化・雰囲気が主題 | 写真では動きと手触りが伝わらない | 手元を撮る |
| 手が動く手順そのものを見せたい | 静止画では途中の動きが抜ける | 手元を撮る |
| 人柄で選ばれている商売 | 写真だけだと誰の店か伝わらない | 後ろ姿・部分出しを混ぜる |
| 使える写真が5枚もない | 30秒ぶん(10枚)の半分に届かず、寄り引きで増やしても持たない | 先に写真を貯める |
| 素材の権利や許可が取れていない | お客様が写る写真は許可が要る | 許可が取れたものだけで組む |
もうひとつ、率直に書きます。「撮影が要らない」は「作業が軽い」と同じではありません。 撮る工程が消える代わりに、並べる・秒数を決める・文字を入れる工程が増えます。話しながら撮れば1回で終わる内容なら、撮ったほうが早いことは普通にあります。
判断の目安は、「見せたいものが、止まっている画で伝わるか」です。伝わらないなら、この形式は選ばないでください。工程ごとの負担の比べ方は動画編集をAIで自動化すると、どこまで時間が減るのかに整理しています。
まとめ
- 写真だけで動画は作れます。決まるのは並べ方と1枚の秒数の2つ
- 素材は撮り下ろさなくていい。作業中・商品・道具・紙に書いた数字まで使える
- 枚数は計算で出す。動きの無い画は3秒が上限なので、30秒なら10枚が目安
- 並べるのは役割が先、写真は後。自己紹介から始めない、結論を隠さない、動画のなかで売らない
- 秒数はセリフの文字数 ÷ 5.9 + 0.8秒。上限は1枚8秒
- 文字は白太ゴシック黒縁・中央・1画面15字前後・強調1色。改行は文節で入れ、1行10〜12字
- 0秒に大きな文字を置く。当社が分析した勝ちリール26本中25本が実施している
- 弱点は動きが無いこと。全部の写真に寄り引きを入れ、1枚を2枚に切り出す——この2つを先にやる
- 音を消して通しで見て、意味が通らなければ文字が足りていない
- 止まっている画で伝わらないものは、この形式で作らない