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ショート動画が伸びない本当の理由——同じ人の投稿でも245倍差がついた

OMU編集部更新 2026.08.04

リールが伸びない原因を、フォロワー数や編集技術に求めても解決しません。同じ人が同じ商材で投稿したリール292本を調べたところ、再生数は同一アカウントの中で最大245倍まで割れていました。条件が同じなのに結果が割れる以上、原因は投稿ごとに変わるものの中にあります。この記事では、その割れ目がどこにあったかを実データで示します。

目次

伸びない原因を「アカウントの条件」で説明するのをやめる

リールが伸びない理由を探すとき、多くの人は探す場所を間違えています。

よく挙がる原因は、フォロワーが少ない、投稿頻度が足りない、機材が悪い、編集が下手——といったところです。しかしこれらはすべてアカウント単位の条件です。アカウント単位の条件は、次の事実を説明できません。

同じ人が、同じ商材について、同じ世界観で出した投稿どうしで、結果が大きく違う。

フォロワー数も機材も編集スキルも同じなのに結果が割れているなら、原因はそれらの外にあります。探すべきは「アカウントの条件」ではなく「投稿ごとに変わるもの」です。

この記事では、その「投稿ごとに変わるもの」を実データで特定します。

同じ人の投稿でも、再生数は245倍割れていた

結論から書きます。同一アカウント内で、投稿ごとの再生数は最大245倍の幅で割れていました。

調査手法

フォロワー数の絶対値では比較していません。フォロワー1万人の「再生1万回」と1千人の「再生1万回」では意味が逆になるからです。比較は必ず同じアカウントの中で行っています。

292本の内訳はこうなりました。

区分 本数 割合
伸びた投稿(中央値の2.5倍以上) 49本 16.8%
中間 211本 72.3%
沈んだ投稿(中央値の0.4倍以下) 32本 11.0%

注目すべきは内訳ではなく、その差がどこで起きているかです。

項目 結果
最大の開き 245倍(同一アカウント内に、中央値の45.7倍の投稿と0.19倍の投稿が併存)
開きの中央値 57倍
開きが10倍を超えたアカウント 10アカウント中9アカウント

10アカウント中9アカウントで、最大と最小の差が10倍を超えていました。これは一部の特殊なアカウントで起きた例外ではありません。

発信者・世界観・商材・フォロワー数は、アカウントの中では固定されています。それでも同じ人の投稿が中央値の45.7倍まで伸び、別の投稿は0.19倍まで沈みました。

割れ目は「冒頭の1行」にあった

伸びた49本と沈んだ32本を分けていたのは、動画が始まった瞬間に表示される冒頭テロップの型でした。

冒頭テロップを分類すると、伸びた側と沈んだ側で型がはっきり分かれました。同じ発信者が書いた文でも、型が違うだけで結果が逆になっています。

ただし先に限界を書いておきます。この調査は冒頭以外の要因(本編の構成、音源、投稿時間など)を統制していません。 したがって言えるのは「冒頭の型と結果に対応関係がある」ところまでで、「冒頭が唯一の原因だ」とは言えません。

それでも、アカウントという最大の交絡が固定されている状態で型がここまできれいに分かれた事実は、最初に手をつけるべき場所を示しています

型は12個に整理できた——代表例で対比する

分類の結果は、沈んだ側に多い型が6つ、伸びた側に多い型が6つに収まりました。 ここでは全部を並べません。対比がいちばんはっきり出た3組だけを載せます。

沈んだ側の冒頭 伸びた側の冒頭 何が違うか
「実は…」と、対象を示さずに引っ張る 「この◯◯は…」と、具体物を示して引っ張る 引っ張り方は同じ。対象があるかどうかだけが違う
その日の出来事をそのまま流す(日常・1日密着・来店お礼) 視聴者の質問にそのまま答える(悩み・疑問への直接回答) 書いてあるのが「起きたこと」か「見た人が得るもの」か
商品名・型番を出して終わる 肩書きや経験を数字で示す(権威×具体的な数字) 相手がその名前を知らない前提で書けているか

3組に共通するのは1点です。

沈んだ側は、発信者の都合のまま出ている。伸びた側は、視聴者にとっての意味に翻訳されている。

型を丸暗記する必要はありません。12の型すべてと、そのまま穴埋めできるテンプレート、自分の投稿がどの型かを見分ける手順はリールの冒頭の型12個——伸びる6つと、沈む6つにまとめています。この記事で押さえてほしいのは、次の1点だけです。

「実は…」は沈み、「この◯◯は…」は伸びた

同じ引っ張り方でも、具体的な対象を示したかどうかで結果が逆になりました。

これがこの調査で最も再現性の高かった発見です。

冒頭 結果
「実は…」のように対象を示さずに引っ張る 沈んだ側に集中
「この◯◯は…」のように具体物を示して引っ張る 伸びた側に集中

どちらも「続きが気になる」書き方です。それでも結果が逆になりました。つまり——

思わせぶりであること自体が効くのではありません。何について思わせぶりなのかが示されているかどうかが、分かれ目です。

「フックを付けましょう」というアドバイスが効かない理由はここにあります。フックの有無ではなく、フックが指している対象の有無が結果を分けています。

直す順番——冒頭から始めて、効かなければ企画を疑う

撮り直す必要はありません。冒頭の1行を書き換えるだけで試せます。順番を守るのが要点です。

① 冒頭の対象を具体化する

「実は…」を「この◯◯は…」に変えます。◯◯には視聴者が思い浮かべられる具体物を入れます。抽象語(美容、ケア、コツ)ではなく、目に見えるもの・手に取れるもの・数えられるものにします。動画そのものは触りません。

② 自分の過去投稿の中央値と比べる

書き換えた投稿を、他人のアカウントではなく自分の過去投稿の中央値と比べます。この記事の分析と同じ見方です。1本で判断せず、数本続けてから見ます。

③ それでも沈むなら、冒頭より手前を疑う

数本やっても結果が動かないなら、原因は冒頭ではありません。次の節で扱います。

この順番を逆にしないでください。 企画から作り直すのは手間が大きく、しかも原因が冒頭だった場合は作り直しても同じ結果になります。いちばん安く試せるところから動かします。

冒頭を直しても沈むときは、企画そのものが負けている

冒頭を書き換えても結果が変わらない投稿があります。その場合、負けているのは冒頭ではなく「何を撮るか」を決めた時点です。

サロン系アカウントの投稿を型ごとに分析した別の調査では、沈んだ側に集中していた企画が5つありました。冒頭テロップではなく、企画の立て方そのものの問題です。

負ける企画 どういう投稿か 調査で見えたこと
施術・作業工程の長回し 早送りなしで一部始終を流す 退屈で離脱される
PR案件・商材レビューが主役 提供品の紹介が動画の中心(#PRを前面に出す) 沈んだ側に集中
内輪の連番・近況報告だけ 「◯◯第24弾」「ご報告です」 シリーズを追っている人の外に届かない
きれいなだけ・作品の羅列 仕上がりを並べて「保存してください」だけ 参加する要素がなく、反応が起きない
同業者向けの技術解説 プロ同士でしか通じない専門的な解説 一般のお客さまに響かない

※抽出元がサロン系アカウントのため、別の業種で読むときは言い換えが要ります。「施術・作業工程」は自分の商材の作業に、「同業者向けの技術解説」は同業者にしか通じない話に、それぞれ置き換えてください。

沈む冒頭の型(思わせぶり/自己紹介・初投稿/日常・1日密着/商品名だけ/告知・予約案内/地味な業務紹介)は、冒頭だけでなく企画そのものが同じ内容だった場合も同様に沈んでいます。冒頭のテロップだけの問題として扱わないでください。

型ごとの対比で見えた「負け専用パターン」5つ

さらに、投稿の型ごとに、伸びた投稿と沈んだ投稿をまとめて突き合わせた分析があります。そこでは、伸びた側にはほとんど現れず、沈んだ側にだけ現れるパターンが5つ確認できました。

パターン 中身
配信の流用 ライブ配信や長尺動画をそのまま切り出して出す
雑談から始める 本題の前に前置きの会話が入る
動画内で売る 料金・予約・商品名を動画の中で言う
〇選カタログ 商品や道具を「◯選」として列挙するだけで、視聴者が持ち帰る動作がない
手順ゼロの自分語り 視聴者が真似できる手順が一つも入っていない

この5つのうち「動画内で売る」だけは、複数の型をまたいで同じ対応関係が確認できています。次の節で分けて扱います。

動画の中で売ると負ける——入れてよい一言、ダメな一言

動画の中に営業の言葉を入れた回は、同じ発信者・同じ型でも沈んだ側に寄りました。売る言葉は消すのではなく、置き場所を動画の外へ移します。

CTA(動画の中で視聴者に行動を呼びかける一言)は、2種類に分けて扱います。

区分 中身 動画内に入れるか
反応を促す一言 保存・コメント 入れてよい。 ただし理由を添える(「後で見返せるように保存してね」)
営業の一言 料金・予約手順・DM・LINE登録・講座名や商品名・「詳しくはプロフィールから」 入れない

型をまたいで確認できた対応関係は次の2つです。

さらに、CTAを入れないほうが多数派でした。

CTAが入っていない本数
話して伝える型(talk) 26本中22本
顧客事例型 22本中17本
日常を見せる型(vlog・伸びた側) 8本中8本

営業の一言は、次の3か所へ逃がします。

  1. キャプション(動画の下の文章)
  2. プロフィール欄
  3. 屋号(店名)の常時表示

※この節の数字は、本記事の292本とは別の分析によるものです。1つの型あたりの本数が少ないため、傾向として読んでください。

このデータで言えないこと

正直に書きます。この調査には3つの限界があります。

言えないこと 理由
予約・購入・売上に効いたか 保存数・プロフィール遷移・DM・予約は公開情報として取得できません。本調査が扱えるのは「どれだけ見られたか」までです
冒頭が唯一の原因かどうか 本編の構成・音源・投稿時間などを統制していません。言えるのは対応関係があるところまでです
日本のリール全体の傾向かどうか 対象は10アカウント292本です。代表標本ではありません

「見られた」と「予約が入った」は別の話です。冒頭を直せば見られる回数は変わりますが、そこから先は投稿の中身と導線の設計の問題になります。冒頭だけを直して予約が増えるとは書けません。

まとめ

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執筆:OMU編集部(株式会社FORSPECT)

事業者向けInstagram運用支援サービス「OMU」を運営。サロン系アカウントを中心に 16,752投稿を収集し、619件を勝ち負けラベル付きで分析。別途リール292本を全件解析しています。記事の数字はすべてこの実測データか、公式に公開されている情報に基づいています。