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SNS運用はどこまで任せるか——10工程で決める委託範囲

OMU編集部

SNS運用をどこまで任せるかは、サービスを選んでから考えることではなく、選ぶ前に自社で決めることです。運用を10工程に分け、3つの問いで1工程ずつ線を引きます。結論から言うと、どんな委託の仕方をしても社内に残るのは方針の決裁・撮影・表現の最終確認・投稿の4つです。残り6工程は外に出せます。

目次

結論:範囲は工程ごとに線を引いて決める

「どこまで任せられますか」を委託先に聞く前に、自社で工程を分けてください。

この質問が委託先への質問になっているあいだは、答えは相手の商品構成で決まります。相手が投稿代行を売っていれば投稿代行が答えになり、撮影スタジオを持っていれば撮影が答えになります。自社に必要な線とは限りません。

線の引き方は1つです。運用を工程に分け、1工程ずつ「これは中の人でないとできないか」を判定する。判定の結果、社内に残るのは次の4つです。

  1. 方針の決裁(誰に何を届けるかを決める)
  2. 撮影(顔・現場・商品が映るもの)
  3. 表現の最終確認(法令・社内基準に照らして出してよいかの判断)
  4. 投稿(アカウントにログインしてボタンを押す)

残りは出せます。「丸投げ」という言葉が指しているものは、実際にはこの4つを残した委託です。 ゼロにはできません。

SNS運用を10工程に分解する

総額や本数の前に、工程の一覧を作ってください。 ここが揃っていないと、見積も比較できません。

# 工程 中身 時間の食い方
1 方針を決める 誰に何を、どんな言葉で届けるか 最初に重い。決めたら軽い
2 ネタを探す・企画を立てる 今月何を投稿するかを決める 毎回重い
3 参考アカウントを分析する 伸びている投稿の型を読む まとめて重い
4 構成・カット割り・撮る画を決める 何秒で何を映すかを設計する 毎回重い
5 セリフ・テロップを書く 話す言葉と画面の文字を作る 毎回重い
6 撮る スマホやカメラで撮影する 中くらい
7 編集する カット・テロップ入れ・音 毎回重い
8 キャプション・ハッシュタグを書く/表現を法令に照らす 投稿文と、薬機法・景表法の確認 中くらい
9 投稿する 時間を選んで公開する 軽い
10 数字を見て次に活かす インサイトを読み、次の企画に返す まとめて中くらい

「時間の食い方」の列が、外に出す優先順位です。 毎回重い工程(2・4・5・7)が4つあり、ここが担当者の時間を持っていきます。

線を引く3つの問い

1工程ずつ、次の3つを順番に当ててください。 感覚ではなく、この順で機械的に判定します。

問い 見ているもの 「はい」なら
① 中の人でないと出せない材料が要るか 顔・現場・商品・自社の言葉・お客様の実情 社内に残す
② 一度決めれば繰り返せる型にできるか 判断の基準を文章と数字で書き出せるか 外に出せる(型を渡す)
③ 止まったとき、事業やアカウントが傷つくか ログイン権限・法令・広告表現の責任 社内に残す

3つの中で見落とされやすいのが②です。基準を文章と数字で書き出せる工程は、外に出しても毎回の説明が要りません。 逆に、型にできないまま外に出すと、そのつど口頭で伝え直すことになり、工数が減りません。

そして③は、費用や品質とは別の軸です。アカウントのログイン情報と、表現を出してよいかの判断は、金額の問題ではなく責任の所在の問題なので、安く済むからという理由で外に出す性質のものではありません。

10工程の判定——社内に残る4つ、出せる6つ

3つの問いを10工程に当てると、こうなります。

# 工程 ①中の人 ②型にできる ③責任 判定
1 方針を決める 要る できる 社内(外部と一緒に作り、決裁は社内)
2 ネタ・企画 材料だけ要る できる
3 参考アカウント分析 不要 できる
4 構成・カット割り 不要 できる
5 セリフ・テロップ 言い回しだけ要る できる 外(言葉のリストを渡す)
6 撮る 要る できない 社内
7 編集 不要 できる
8 キャプション・法令確認 一部要る できる 社内 外+社内が最終確認
9 投稿 社内 社内
10 数字を見て次に活かす 画面は社内 できる 外(数字は社内が渡す)

#10には注意点があります。 自分のアカウントのインサイト(保存数・視聴維持率・プロフィール遷移)は、外部からは見られません。委託先に分析を任せる場合も、画面のスクリーンショットか書き出したデータを社内から渡す工程が必ず要ります。 ここを決めずに契約すると、分析工程だけが空回りします。

#5で「言葉のリストを渡す」と書いたのは、言い回しが自社の資産だからです。 よく使う言い方、絶対に言わない言い方、業界の専門用語の読み替えを最初に1枚にまとめて渡すと、以降の台本が自社の声で戻ってきます。

外に出して効くのは上流。撮影・編集ではない

外注を検討する人がまず出したくなるのは編集ですが、投稿ごとの差がついているのは、その手前の企画と冒頭です。

当社が10アカウントのリールを全件で解析したところ、同じアカウント・同じ人・同じ商材でも、投稿ごとの再生数は最大245倍に開いていました(同じアカウント内に、そのアカウントの中央値の45.7倍の投稿と0.19倍の投稿が併存)。開きの中央値は57倍で、10アカウント中9アカウントで10倍を超える開きがありました。

調査の内容

同じ人が、同じアカウントで出した投稿のあいだで、これだけ開いています。 差を生んでいるのはアカウントの力ではなく、1本ごとの作り方です。

当社は別途、伸びたリール103本と、対比用の沈んだリール37本を型ごとに解剖しています。そこでは、冒頭に大きな文字を出す「0秒タイトル」を、26本中25本が使っていました。自社アカウントのリール23本(再生数7千〜128万)で見ても、伸びた回の平均視聴時間は16〜21秒、沈んだ回は7〜12秒で、冒頭で離脱した割合が50%を超えた回は例外なく沈んでいます

ここから言える委託の順番は1つです。 開きを作っているのが1本ごとの作り方である以上、先に外へ出すのは工程2〜5(企画・構成・台本)です。編集(工程7)はそのあとで検討してください。

よくある3つの委託範囲と、それぞれの前提

範囲は3つのパターンに収まります。 選ぶ基準は予算ではなく、社内に何が残せるかです。

範囲 外に出す工程 社内に必要なもの 向く会社
狭い(企画まで) 2・3・4・5 撮る人と編集する人 撮れる人はいるが、何を撮るかが決まらない
中(企画+編集) 2・3・4・5・7・10 撮る人 編集で止まっている
広い(撮影も) 2〜8・10 立ち会いと確認の時間 現場を空けられない。撮る人が確保できない

どのパターンでも、工程1(方針の決裁)と工程9(投稿)は社内に残ります。 工程8も、書くのは外に出せますが、出してよいかの最終判断は社内です。

「広い」を選ぶときに1つだけ確認してください。 撮影を外に出すと、社内の工数は最も減りますが、事業者本人の顔と言葉が入らない投稿になりやすくなります。本人の専門性や人柄が売りの事業では、ここが効きます。撮影を外に出すか残すかは、費用ではなく誰の投稿に見せたいかで決めてください。

範囲の境界を言葉にする——渡すもの・戻るもの・受入基準

工程を選んだら、境界を3列で書き出します。 ここを書かない委託は、たいてい「そこまでやってくれると思っていた」で揉めます。

外に出す工程 社内から渡すもの 戻ってくるもの 受入基準の例
2 ネタ・企画 今月の販促予定/お客様からよく出る質問 企画案(題材と狙う相手) 実際に自社で撮れる題材になっているか
3 参考分析 目標にしたいアカウント名 型の一覧 自社の商材に翻訳された形になっているか
4 構成・カット割り 撮れる場所・時間の制約 秒数つきのカット表 カット秒の合計が指定尺と±2秒以内
5 セリフ・テロップ 使う言葉・使わない言葉のリスト 台本 テロップが1画面15字前後。表紙の文言が9〜15字
7 編集 撮影素材・ロゴ・書体 完成尺の動画 指定の縦型(9:16)と尺に収まっているか
8 投稿文 商品名・注意表示・過去のNG事例 キャプション案 ハッシュタグが内容に直結するものだけ最大3個
10 分析 インサイトの画面(社内で書き出す) 次の企画への反映案 次に何をするかが1つ書かれているか

受入基準は「良い感じに」ではなく数字で書いてください。 目視の確認は、担当者が変わった瞬間に基準が変わります。

参考までに、当社は納品前に6項目を機械で確認して、外れたら納品を止めています——キャプションが空/ハッシュタグが4個以上/表紙の文言が9字未満か15字超/セリフの文字数が必要量の90%未満/カット秒の合計が指定尺と±2秒を超える/冒頭カットのテロップが空。秒数は話速5.9字/秒からセリフの字数で逆算しています。同じ考え方で、委託先に渡す受入基準も数字にできます。

稟議にそのまま貼れる「委託範囲の定義」

稟議で通らないのは金額が高いからではなく、範囲が言葉になっていないからです。 次の8項目を埋めれば、そのまま申請書の本文になります。

  1. 目的:委託によって社内の何時間を空けるか(工程2・4・5・7で月何時間かを実測して書く)
  2. 委託する工程:番号で列挙(例=2・3・4・5・10)
  3. 社内に残す工程と、その理由:1(決裁)/6(撮影=自社の顔が要る)/8の最終確認(表現の責任)/9(アカウント権限)
  4. 社内から渡すもの:工程ごとに1行(上の表の2列目)
  5. 戻ってくるもの:工程ごとに1行と、納品の頻度(月何本・いつまでに)
  6. 受入基準:数字で書く(尺±2秒/テロップ15字前後/ハッシュタグ最大3個 など)
  7. 費用:範囲を確定してから見積を取る。範囲が違う見積を金額だけで並べない
  8. 見直しの条件:何が起きたら範囲を変えるか(例=撮影が続けて回らない月が出たら、撮影の委託を再検討する)

3番の「理由」を書くのが要点です。 「撮影は社内」とだけ書くと、決裁者には削れるコストに見えます。「本人の顔と言葉が入る投稿のほうが届くため」と理由を添えると、範囲の話として読まれます。

成果の書き方には注意してください。 委託によって約束できるのは投稿が止まらない状態までで、来店数や売上は投稿以外の要因で動きます。当社も投稿実績のデータが揃っているのが2026年8月時点で32本のため、成果の平均値は公表していません。稟議に書く目標も、まず「月◯本を継続して出す」という状態で置くほうが、後で評価できます。

まとめ

「企画だけ外に出す」を検討されるなら

OMUは、ネタ探し・企画・台本・絵コンテ・分析を引き受けるサービスです。撮影と投稿は御社に残ります。月額39,800円(税込)・月20本まで・オプション課金なしなので、本数が増えても月々の請求額は変わりません

納品前に機械が6項目を検査して止める仕組み、業種ごとの表現チェック、月次レポートまで含みます。別途、初期費用と最低利用期間3ヶ月があるため、稟議の前に料金の詳細をご確認ください。

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執筆:OMU編集部(株式会社FORSPECT)

事業者向けInstagram運用支援サービス「OMU」を運営。サロン系アカウントを中心に 16,752投稿を収集し、619件を勝ち負けラベル付きで分析。別途リール292本を全件解析しています。記事の数字はすべてこの実測データか、公式に公開されている情報に基づいています。