AIが作った台本の品質は、どう担保されているのか——検査6項目と閾値を公開します
「AIで作っているようだが、品質はどう担保しているのか」——これは商談でいちばん多い質問です。多くの場合「経験豊富な担当者が確認します」と答えられますが、それは検証できない説明です。この記事では、OMUが納品前に機械で検査している6項目を、閾値と根拠まで公開します。あわせて、この検査で防げないことも書きます。
目次
「経験豊富な担当者が確認します」では、答えになっていない
この答えには、確かめる方法がありません。
AIを使った制作物について品質を問われたとき、多くのサービスはこう答えます。
「経験豊富なディレクターが最終確認しています」
聞いた側は、次のことが分かりません。
- 何を確認しているのか
- どの基準で合格・不合格を決めているのか
- 見落としたとき、何が起きるのか
人の目視は、疲れます。件数が増えれば精度が落ちます。確認する人が変われば基準も変わります。 つまり、目視だけを品質の根拠にすると、量が増えた瞬間に崩れます。
そこでOMUは、納品の直前に機械が台本を検査し、1項目でも基準を外れたら納品を止める設計にしています。以下、その中身です。
納品を止める6項目
検査に引っかかると、その台本は顧客に届きません。警告ではなく、停止です。
納品前の機械検査(6項目)
# 検査する内容 止める基準 1 投稿キャプション 空である 2 ハッシュタグ 4個以上(上限3個) 3 表紙文言(0秒に出す文字) 9文字未満、または15文字超 4 セリフの分量 尺に対して必要文字数の90%未満 5 カット秒数の合計 指定尺との差が±2秒超 6 1カット目のテロップ 空である ※ 数値はいずれもコード上の設定値です。
「だいたい合っていればよい」ではありません。数字で決まっているので、担当者が誰でも、何本目でも、同じ判定になります。
なぜその閾値なのか
基準は、あるとよさそうだから置いたのではありません。1つずつ理由があります。
② ハッシュタグは3個まで
多く付けるほど届くわけではありません。関連性の薄いタグを足すと、届く相手がぼやけます。上限を3個に固定し、4個以上になった時点で止めます。
③ 表紙文言は9〜15文字(目安11〜13文字)
0秒で表示される文字は、読み切れなければ意味がありません。短すぎると内容が伝わらず、長すぎると読む前にスクロールされます。この幅を外れたら止めます。
冒頭の文言が結果をどれだけ左右するかは、292本の分析で確認しています。ここは最も事故が許されない箇所です。
④ セリフは尺の90%以上
尺に対してセリフが少ないと、喋り終わっているのに画だけが続く間延びが起きます。
必要文字数は次の式で出します。
必要文字数 = 尺(秒) × 5.9
5.9は話速(1秒あたりの文字数)です。全メニューで統一しています。この90%を下回ったら止めます。
文字数の数え方も決めてあります。かな・カナ・漢字・英数のみを数え、絵文字・記号・空白は数えません。 絵文字で字数を稼げてしまうと、検査が意味をなくすためです。
⑤ カット秒の合計は指定尺の±2秒以内
各カットの秒数は、役割ごとの固定値ではなく、実際のセリフ文字数から逆算しています。
カットの秒数 = そのカットのセリフ文字数 ÷ 5.9 + 息継ぎ0.8秒
その合計が指定尺から±2秒を超えてズレたら止めます。撮ってから「尺が合わない」と気づくのを防ぐためです。
①⑥ キャプションと1カット目のテロップが空
空のまま納品されると、顧客側の作業が発生します。埋まっていない成果物は納品しない、という単純な線です。
業種ごとの表現チェック
もう1つ、法令に関わる検査を台本に組み込んでいます。
業種によって、使ってはいけない表現が違います。OMUは業種を8つのカテゴリに分け、顧客ごとに該当するカテゴリを設定します。台本にはそのカテゴリに応じたチェック欄が入ります。
| 業種の例 | 主に関わる法令 |
|---|---|
| 美容・サロン | 薬機法・景品表示法 |
| 健康食品・サプリ | 薬機法・健康増進法・景品表示法 |
| 飲食・物販 | 景品表示法・食品表示法 |
| スクール・教室 | 景品表示法・特定商取引法 |
見出しは業種ごとの法令名で出るので、確認する側が「何の観点で見ればよいか」を迷いません。
ただし、これは法的な判断の代わりにはなりません。 リスクが高い領域(医療・金融など)は、公開前に専門家の確認を通す前提で運用しています。
機械が決めないこと——カット数は台本駆動
逆に、機械に決めさせていない箇所もあります。
よくある作り方は「30秒だから6カット」のように尺で割ることです。OMUはこれをしません。カット数は台本の自然な構成——役割の切れ目、セリフのまとまり——で決まります。
尺で割ると、型に押し込むために内容を削ることになります。60秒でも90秒でも、必要なカット数は中身によって変わります。
空の雛形を作るときの初期スロット数(30秒→6、60秒→8、90秒→10、120秒→12)は目安であって、上限でも確定でもありません。
品質を機械で守る箇所と、機械に決めさせない箇所を分けている、ということです。
それでも人が見る工程
機械の検査は、人の確認を置き換えるものではありません。
OMUはコンシェルジュ型で、人の品質ゲートを意図的に残しています。機械が見るのは「構造として壊れていないか」で、人が見るのは次のような点です。
| 誰が見るか | 何を見るか |
|---|---|
| 機械 | 空欄・字数・尺の整合・タグ数(=数えられるもの) |
| 人 | 顧客の言葉づかいに合っているか、企画として面白いか、その顧客が言わない表現が混ざっていないか |
| 顧客 | 台本の内容が事実と合っているか(確認の工程を置いています) |
この順番が重要です。 機械が構造の不良を先に落とすので、人は中身の判断に集中できます。人が字数を数えることに時間を使うのは、その人の能力の使い方として間違っています。
この検査で防げないこと
正直に書きます。この6項目で防げないものがあります。
| 防げないもの | なぜ |
|---|---|
| 企画がつまらない | 面白さは数えられません。ここは人が見る領域です |
| 事実と違う内容 | 顧客の商品・実績に関する事実は、機械には検証できません。顧客側での確認工程を置いているのはこのためです |
| 法令違反そのもの | チェック欄を出すのは「見る観点の提示」であって、法的判断ではありません |
| 投稿の成果 | 検査は台本の構造を保証するものです。投稿が伸びるかどうかは保証しません |
最後の行が最も重要です。品質検査は成果保証ではありません。 OMUが約束しているのは、投稿が止まらない仕組みを提供することまでです。来店数や売上は約束していません。
外注先を選ぶときに聞いてほしいこと
当社に限らず、AIを使うサービスを検討するときは次の3つを聞いてください。
- 何を、どの基準で検査しているか。 「確認しています」で終わる場合、基準は存在しないか、人によって違います
- 基準を外れたとき、どうなるか。 警告が出るだけなのか、納品が止まるのか。警告だけの仕組みは、いずれ読み飛ばされます
- その検査で防げないものは何か。 ここを答えられない相手は、検査の範囲を把握していません
まとめ
- 「経験豊富な担当者が確認します」は、確かめる方法がない説明
- OMUは納品前に機械が6項目を検査し、外れたら納品を止める(警告ではなく停止)
- 閾値は公開している:ハッシュタグ3個まで/表紙文言9〜15字/セリフは尺×5.9の90%以上/カット秒合計は±2秒以内
- 業種を8カテゴリに分け、該当する法令名でチェック欄を出す。ただし法的判断の代わりではない
- 逆にカット数は機械に決めさせない。尺で割ると、型に押し込むために内容を削ることになる
- 機械は「数えられるもの」、人は「中身」、顧客は「事実」を見る分担にしている
- この検査で企画の面白さ・事実の正しさ・投稿の成果は保証できない